2008年3月21日から26日までの連日「中国国家大劇院版トゥーランドット世界初演」がおこなわれました。トゥーランドットはプッチーニが最後まで書き上げることなく亡くなった為最後の数ページは彼の弟子アルファーノによって書かれました。1926年ミラノスカラ座初演の際、指揮者トスカニーニが「マエストロはここで筆を折られた」と言って指揮棒を置きそこで演奏をやめた、という話は大変有名です。今回の国家大劇院版はプッチーニが書かなかったこの最後の部分を中国作曲家郝維亞(ハオ・ウェイャ)が作曲したということで話題になっているものです。
指揮者はGiuseppe Acquaviva(ジュゼッぺ・アックアヴィーヴァ)と呂嘉(リュ・チア)、トゥーランドット姫はGiovanna Casalla(ジョヴァンナ・カザッラ)と孫秀葦(スン・シュウウエイ)、カラフはNicola Martinucci(二コラ・ユルティヌッチ)と魏松(ウェイ・ソン)、戴玉強(タイ・ユーチャン)という中国、イタリアの混合。以下大部分は上海歌劇院のメンバーです。
このオペラ、物語の舞台となっているのが中国だからかどうか分からないけれど、ことこのオペラになると中国の力の入れようは全く驚く程です。同じプッチーニが作曲した「蝶々夫人」は日本を舞台として描かれていますが日本人がこのオペラにそれ程頑張るということはない。まあ内容が日本人としてはちょっぴり屈辱的であるからかも知れませんが・・・。
この度の「中国版~」は中国の威信にかけお金もふんだんに注ぎ込み、おかげで観客の私はとても楽しむことができました。オペラの舞台はこれでもか!!という程贅沢にお金をかけないとみすぼらしくて学芸会みたいになってしまいます。近年どこのオペラハウスも資金不足ゆえに簡素な舞台をスリップ1枚の主人公が歌そっちのけでなにもここまでしなくてもと言う程生々しい演技で動き回り、それを新解釈などと言っていますが、つまりはただの節約オペラに過ぎず見ているこちらは全くシラけてしまいます。
しかしこのたび国家大劇院版の舞台は絢爛豪華、装置も衣装もキンキラキン、「ド派手大好き」の私の視覚を大いに満足させてくれるものでした。なかでも感動したのはカラフの謎解きの場面で彼が正解する毎にその答えが玉座の後ろの屏風に漢字で浮かび上がる場面でした。8月のオリンピックの開幕式でもアルファベットでなく漢字表記に従い国別入場と聞いていますが、中国の漢字に対する思い入れの深さに同じ漢字を共有する日本人としては「やったネ!!」という感じでした。この心憎いまでの演出を理解できるのは中国人以外では日本人だけですから・・・。
さて今回も入り口でプログラムを買いましたが(値段は忘れてしまいました・・)プログラムというよりは一冊の本という感じで総ページ172ページにも及ぶ読み応えのあるものでした。中国語の勉強がてら読んでいた所 面白い事がわかりました。中国の有名な曲「茉莉花」がこのオペラの中で使われている話は以前からよく知っていましたが、オペラの中で大変印象的に使われている美しい旋律が実は1920年代の中国国歌であったという事を今回はじめて知りました。
これだけお金をつぎ込んだ舞台ですからきっと中国各地はもとより世界に持ってゆく計画があるのだろうと思いますがとりあえずは8月末再度北京国家大劇院にて上演されるそうです。もちろん魏松さんが再び歌いますし6月の東京での私達の演奏会で彼の声に魅せられた方はぜひ北京まで行ってみたら如何でしょうか?絶対におススメですよ!!
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