NAOKOのひとりごと・・・・・No32

「桜、日本の美」


 photo by Atsuko.T

 “桜の花びらが舞う中を、母に手を引かれてこの門をくぐってから6年の歳月が過ぎました。”小学校の卒業式では、毎年卒業生代表が決まってこんな書き出しで始まる答辞を読んでいた。私は小学一年から高校三年まで、田園調布にあるミッション系の私立学校に通ったので、入学式は4月1日ではなく、確か6日か7日頃だったと思う。桜も満開を過ぎ桜吹雪の時期。
 桜は日本人にとって特別の意味を持つ花である。日本人の繊細な美意識が、詩歌や物語、絵巻や歌舞伎などの題材に桜を据えたのはよく理解できるが、同時に<花見>という独特の文化をも我々にもたらした。『日本書紀』に既に花見を連想させる記述が出てくるし、桜の都といわれた平城京を思い浮かべても天平時代桜はもう日本文化の中心に定着していたようだ。時代は下り、宮中、貴族の遊宴から武家、そして庶民へと花見は広がり、現代のお花見文化が形作られたのではないか。徳川家康が江戸に幕府を開いた時に、花見をする場所として桜を植えたのが今の上野公園だと聞いている。
 蕾が一つ開いたと思ったら、見る見る満開になり、その何者をも圧倒する美しさ、華やかさで我々を魅了し、今生への未練、老いさらばえる醜態を垣間見せることもなく、あっという間にその命を終わらせる……この美しさ、儚さ、潔さが、日本人的美学のシンボル。そんな桜に彩られて四月に人生の門出が設定されているのも理に適っているな〜とひとしきり納得。人生も桜に倣って美しく咲いて、潔く散るようにという願いが込められているのかもしれない。
photo by Atsuko.T

 桜前線の北上に伴なって日本列島を南から北へ追いかける……ほどではないが、私もかなりの桜好きである。これまで40年以上毎年欠かさず、どこか外国へ行っていても極力日本に戻るようにしてお花見を楽しんできた。下戸の上カラオケ嫌いなので、ござを敷いてお酒を飲みながら夜桜見物というパターンではなく、千鳥が淵や洗足池を散策したり、ゆっくり車を走らせながらヘッドライトをアップにして通称桜のトンネル(桜新町)を通ったりと、ゆったり静かに桜を愛でるお花見。

 いつも都会に生活し、あまり自然に目を奪われることもなく暮らしていますが、この季節は桜につられて大空を見上げる機会が増えます。桜吹雪の中、日本に生まれた幸せをしみじみと実感するこのごろです。

 

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