北京国家大劇院コンサート・報告No4
さて、もうすぐパリのコンサート。
出発前に北京国家大劇院とは、どんなホールだったのか・・・と言う皆様からのご質問にお答えし今回の国家大劇院の総集編とさせて頂きます。
外観についてはおそらく今更私が申しあげる特別な事はありませんので省略。
実際に楽屋に入った人間にしか分からない部分をご説明いたしましょう。
当日入館する人間について細かく申請――中国人なら身分証明番号、私のような外国人ならパスポート番号――しなければならない・・・まあこれは日本と全く同じです。
私達が行なってきた七夕コンサートの会場≪東京オペラシティホール≫に於いても、楽屋に入る可能性のある全ての人の名前を前もって提出しなければなりません。
ですから当日になって突然楽屋に来ても絶対に入れて貰えません。
(まあ、これが良いか悪いかは意見の分かれる所だとは思いますが・・・)
さて、ここからがいかにも中国らしい、と言いましょうか・・・・
当日大劇院に前もってナンバーを登録済みの車が迎えに来てくれて私達を駐車場の楽屋口で降ろしました。
車から降りて・・・あれっ?!受付のようなところがありません。
つまり楽屋口から入ってくる人間の名前や身分証明をチェックする場所も人もいなくて≪スル―≫出来てしまうのです。
結局私は誰からも身分の確認を求められることもなく自分の楽屋に到着してしまいました。
さてその楽屋――日本の新しいホールと同じようにシャワールームもありますしソファーもありちょっとしたホテルの部屋のような感じです。
もちろんピアノも置いてありますから、発声練習なども自在です。
一番特筆すべきは・・・・
今まで中国でずいぶん沢山のホールのお世話になりましたが、トイレにペーパーがきちんと備わっていて、しかもトイレ独特の臭いがしないという点ではさすが国家大劇院だけあって、とっても国際的でありました!
その地方では最高と言われているホールでも、こういう条件を満たしている所となると殆ど皆無というのが実情ですから。
そして更に特筆すべき事がありました。
コンサート開始から終了までの間、私の楽屋に不審者が侵入しないように、私の楽屋の入口でほぼ終始直立不動のまま見張り役をしてくれた青年の存在――しかも私が舞台に出る前や舞台から戻って来た時には必ずニッコリほほ笑んでくれるのです!
これはやっぱり共産党の中国ならでは、と言うかやっぱり軍隊のある国の青年は違うと言うか・・・・
ちょっとビックリと同時に感激した事でした!
さて、日本から応援に来てくれた友人たち――
私から聞かされてはいたものの、入館する際に受ける飛行場並みの厳しいセキュリティーチェックには些か閉口気味だった様子。
しかも彼らが驚いたのは、あれほど厳しいセキュリティーチェックがあってカメラは持ち込めない筈なのにもかかわらず結局ホール内にカメラを持っている人が何人もいた事!!!
なんで~~???
しかし、ここで最初に書いた話に戻りますが、前もって登録済みの車に乗って楽屋口まで来れば、何人でもノーチェックでホールに入って来られるのです。
友人の為なら規則なんて無視!というお国柄ですから、こういう車が何回も駐車場と外を往復すれば前もって登録してない人間でも簡単に入って来られます。
そういうファンみたいなのが、リハーサルの時にもドヤドヤいてお目当ての歌い手さんの写真をバチバチ撮っていましたから、その人たちがそのままコンサートの時間まで外に出ないで残っていれば――即ちカメラを持った人が会場にいる、ということになってしまうのです。
あれほど厳しいチェックをするのに一方でこういう抜け道のあるのがいかにも中国的で面白いと思った次第です。
さて、最後に皆さんが一番興味のある事――音響について。
残念ながらその外観の壮麗さに比べると、設計の段階で音響については全く無視されたのか、或いは予算を外観部分で使い切ってしまって音響まで手が回らなかったのかな、いうのが正直な感想でした。
私の持ち味は≪遠くまで届くピアニッシモ≫ですが、これは音響の良いホールでしか通用しません。
元々中国人の好みは≪大きな音≫ですから、そもそもこの国では無理な事に挑戦しているとも言えますが(笑)。
「浜辺の歌」や「故郷」を聞いたある日本人の方の感想は―――「日本の歌はアカペラで歌ったほうが良かったかもね!」でした。
まあ、音響についてはこれから先、手を加えて行けば良くなる可能性はあるのですから、経済大国=中国の今後に大いに期待しましょう!
そして――入れ物を作るのは国家ですが、その中身は観客によって作られて行くのですから、中国人の≪音に対する要求≫が変わってくれば自ずとホールも変わってゆくことでしょう。
それは外国人である私が口出しすべき問題ではありませんので、ただ見守るのみです。
ともあれ、北京国家大劇院でコンサートを開くことのできる≪個人の身分としての外国人≫なんて本当に数少ない稀なケースでしょうから、これに関しては魏松さんのお力添えにひたすら感謝申しあげる次第であります。心より感謝いたします。有難うございました、魏松さん!















