松井 菜穂子 Soprano
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※これまでのレポートは「History」のページでご覧いただけます。

長春のコンサート準備

 4月の長春行きで結論の出なかったホール選びのため再度長春に行くことになりました。
  5月に上海で魏松さんとお会いした際に中国ではまだまだ音響の良いホールというのは大変少なくクラシックの声楽家でもマイクを使用して歌わざる得ない情況である旨伺っておりましたので長春での会場選びはお客様の交通の便が良いことと、沢山のお客様が収容できることの2点を第一に考えることにしました。そして決定したのが東方大劇院という1,468席のホールです。もっともホールの係員のお話では12年前に一度だけ使用し以後は一度も使ってないという反響板もあるにはある・・・ということでしたのでもしかするとマイクを使わずに済むかも知れません。(期待薄ではありますが・・・・)
  そしてこのたびは瀋陽の阿部総領事が長春にて吉林省外事弁公室や文化庁の方達と私とが同席してお食事をしながら秋のコンサートの件について話し合うという場をわざわざ設けて下さいました。 
  ご多用中にもかかわらず本当に有難いことと感謝すると同時に私も出来る限り頑張ってこのご恩に報いなければ・・・との思いが更に強くなりました。

6月20日
前列左より吉林省文化庁馬玉英副庁長 私 阿部孝哉総領事 吉林省外事弁公室王剛副主任 後列左より吉林省外事弁公室金雪峰さん 吉林省外事弁公室王傑秘書長 吉林省文化庁朱紅さん 長春日本商工会事務局員の児玉安弘さん 川端章義領事


乗馬

 このたびの長春では会場選びがわりとすんなり決まったため空き時間ができたので市内の見学をして参りました。そのなかのひとつ偽満州国皇宮博物館に行った時のこと、見学を終えて出て来てふと庭を見たらなんと馬場があり馬がいるではありませんか!私の菜穂子という名前から勘の良い方はすでにお気づきかも知れませんが私の父は堀辰雄の大フアン・・よって我家は毎年夏休みは決まって軽井沢へ出かけておりました。そして軽井沢で乗馬をするのも我家の決まり事でした。

 「運動」と名のつくものはすべて怖くて苦手という私がなぜか乗馬だけは大好きで、小さい頃一番なりたかった職業は競馬の騎手というくらい本当に乗馬大好き少女でした。しかし長年の間殆ど乗馬の機会もなく過ごしていましたが久しぶりに長春で馬に乗ったら途端に乗馬熱がよみがえってしまいました。そこで早速瀋陽に戻ってから教えて頂いた棋盤山に出かけてみたところちょっと哀愁を帯びた馬達(颯爽というかんじではなく少しくたびれた感じの・・・)が沢山いて暇そうにお客さんを待っています。値段を聞いてびっくり!これなら少々くたびれた馬でも文句は言えません。しかしいざ乗ってみると大変美しい景色の中をのんびりと駆け回り楽しいことこの上ないのです。

 すっかり病みつきになり滞在中何度か出かけ乗馬を楽しんで参りました。乗馬というとちょっとスノッブな感じがありますがここはそれが全くない本当に気軽に楽しめるところです。皆さんももし夏場瀋陽へいらっしゃることがありましたらぜひ棋盤山の乗馬を楽しんでみては如何でしょうか?山をくるりと一周して約40分くらいで料金は40元(日本円で650円位でしょうか・・・・)馬方のおじさんに付いてもらえば80元(40元+馬方さんに40元)、いずれにせよきれいな風景と乗馬を楽しんでこの値段は絶対お得だと思います。 

・今回私が瀋陽で見つけたおススメスポットです。
偽満州国皇宮の馬場にて
棋磐山にて
棋磐山にて 
鞍の上にかけてある布にご注目下さい


汽車の旅

 前回のレポートで中国の旅の大変さを書きましたが、実は今回瀋陽~長春を往復した際たった2ヶ月の間に様子は一変しておりました。前回改装中だった所に一等(軟座)専用の待合室ができていました。ここに入りゆっくりと優先乗車ができるという訳です。本当に助かりました。後で聞いた話では今は大きな駅は殆どこのような方式だそうです。
  しかしこれも聞いた話ですが、一等の切符を持っていても時にはなぜかその専用待合室に入れてもらえないこともあるとか・・・・でも20分後に行ってみたら係員が交代していてこんどはスンナリ入れてもらえたとか・・・・etcまあ色々あるようです。
 
  前回のレポートで散々おどしてしまいましたので中国での汽車の旅はどうもネ・・などと思っていらっしゃる方があるといけませんので一応訂正させて頂きます。
  足腰が丈夫なら(やはりまだエスカレーターやエレベーターは完備していませんので・・・)汽車の旅も悪くはありませんのでぜひ挑戦してみて下さいネ。

撫順のコンサート準備

 4月の瀋陽行きで決定した(・・と私が思っていた・・・)遼寧省国際芸術際の開幕式への参加が今回瀋陽に来てみたら突然なくなっていました。どうも開幕式そのものの内容が大幅に変更してしまったらしくお手上げの状態です。途方に暮れる私に助け舟を出してくださったのは又しても阿部総領事でした。瀋陽から東へ約40kmのところにある炭坑の町、撫順でのコンサート開催のため段取りをしてくださいました。

 以前から私は小さな都市でのコンサート開催、困難の多い場所でのコンサート開催を希望しておりましたので、まさに私にぴったりの所だと思い、喜んでやらせて頂くことにいたしました。なぜ困難が多いか・・と言うとこの撫順では今年平頂山村民3,000人虐殺事件からちょうど9月で75周年を迎えるからです。

 しかし そういう時だからこそ音楽を通して平和と愛を全身全霊で訴えることができれば本当にやり甲斐のあることだと思います。 そして敢えてそのような活動に許可を出してくださる阿部総領事の懐の深さと肝魂の大きさに改めて感服いたしました。
  李青さんのピアノと私の歌で撫順の皆様の心に届くコンサートと成りますよう目下準備に追われています。8月31日撫順にて“魂の歌”を響かせたいと願っております。

撫順で又ご一緒させて頂くことになりましたピアニスト李青さんとそのお母様



 7月3日総領事公邸にてお夕食会。
  これからは文化交流が最も大切になるとの総領事のお考えでこのようなお食事会にお招き頂きました。

前列より李青さん 遼寧省広播電視局李厚朴局長 阿部孝哉総領事 私 瀋陽音楽学院潘兆和院長 後列左より 遼寧歌劇院孟欣副院長 ソプラノ歌手宮雲湘さん 平柳朋子副領事 翁鉄軍さん 菊田悦二領事


林ご夫妻様のこと

同澤倶楽部にて 林様ご夫妻と

 以前瀋陽レポートでご紹介させて頂きました林ご夫妻様が、いよいよ任期を終えられ日本にご帰国なさる事になりました。
  今年1月に瀋陽航空工業学院で講演会をさせて頂きました折喉を痛めていて歌うことができず次回に・・・と約束したままになっておりましたので今回約束を果たすべく機会を作って頂き歌って参りました。
  その際、私が中国語の教師を探している旨お話しました所、ちょうど1月の講演会で司会進行をつとめてくれた呉芳さんが卒業も決まり目下時間があるので頼んでみては・・・ということで早速彼女にお願いすることに致しました。呉さんは10月から日本に留学することが決まっています。とても頭の良い女性でしかも性格が本当に可愛らしく私達はすっかり意気投合しお互いの時間をやりくりしては楽しい時間を共有いたしました。

  彼女は「もし林ご夫妻に出会わなければ私はこのまま中国で就職していたと思うけど彼等に出会いもっともっと日本について知りたくなったので留学することにした。」と言っていました。林ご夫妻の素晴らしい影響力に敬服すると同時にこの可愛らしい年下の友人が日本で沢山の良い出会いに恵まれ(ちょうど中国での私がそうであるように・・・)幸せな人生を歩んで行ってくれるよう心から願い又私にできることは全力で応援してあげようと思いました。
  ご帰国前のご多用の中瀋陽での最後の機会だから・・・と林様が私をランチに招待して下さり至福の時をご一緒させて頂きました。“至福の時”であるにもかかわらず私の瞳はたえず涙でウルウルしてしまいました。なぜかと言えば呉さんを通してお二人がいかに生徒達から慕われていらしたか又その陰でどれ程多くのご苦労があったか聞いておりましたので万感胸に迫るものがあり涙目になってしまいました。その席で林様と私が一番残念に思い憤りすら覚える事が全く同じであることも知りました。

 それは“反日”記事を書きたてるマスコミに対するものです。日本人はこういう報道になんの疑問も持たずにまるごと鵜呑みにしてしまう純粋な国民ですからこれは本当に問題だと言わざるを得ません。

 林様や私のように決して派手ではないけれど地道な努力をしている人間からみたら大変な“逆風”です。最近よく日本で友人と話していると反日の嵐の中に飛び込んで大丈夫なのか・・・と聞かれ一瞬キョトンとしてしまうことが多々あります。
  もちろん友人にしてみれば私の身を案じて言ってくれているのでそれはそれで有難いことではありますがやはり皆こういう風に感じているのかと思うとちょっと悲しくなってしまいます。13億人の中には当然“反日”の人もたくさんいるには違いありませんが私が今まで出会い友達になった人達の中にそのような空気を感じたことは全くありません。どの国にも大部分の良い人と一部の良くない人がいる訳でそのどちらと知り合うかは自分の生き方一つで決まるのだと思います。ですからどの国の人と付き合う時も誠心誠意尽くしていれば心配することなどひとつもないと私は信じています。

 これからも林ご夫妻様を見習って、私もひとつひとつの出会いを大切に、中国で友好の輪を更に広げてゆきたいと思います。

呉芳さんと。日本への留学に備え和食に慣れるため日本食レストランに行きました。
呉芳さんを棋盤山に連れ出しました。初めての乗馬と言ってましたがなかなかのものでした。


7月大阪市中央公会堂でのコンサート

魏松さんと二重唱

  7月27日関西21世紀交響楽団の演奏会に中国のテノール歌手魏松(ウェイソン)さんと共にゲスト出演させて頂きました。

 魏松さんは前回のレポートで既にご紹介いたしましたが中国を代表する素晴らしいテノール歌手で今やその活躍の場は世界中に広がっています。

 4月に偶然瀋陽でお目にかかりそのご縁で魏松さんからこのたびのコンサートに呼んで頂きました。関西21世紀交響楽団というのは池田大作氏により1995年1月に結成されたオーケストラで関西在住のプロのオーケストラ奏者を中心にプロ、セミプロ、アマチュアの有志の方達が集まってすべてボランティアで各種チャリティーのため活動をしているオーケストラです。ですから私はもちろんのこと多忙の合間をぬって日本にいらした魏松さんもチャリティー出演です。

 私は芸術家という立場上政治的、宗教的には白紙の立場を貫いておりますが「チャリティー」というのは私の残された音楽生命の核を成すものでありますし又今回の副題である「日中国交正常化35周年記念」はまさに今私の活動の源となっている日中友好のための芸術活動と合致しておりますので喜んで参加させていただきました。

荒木様に「侯爵様」役をお願いし私の十八番であるオペレッタ<こうもり>の中から「侯爵様ご覧遊ばせ」を歌いました。

 6月から7月にかけて約1ヵ月間フィンランドに滞在され、オペラ「カルメン」の本番を4回公演され7月22日に上海に戻ったばかりであるにもかかわらず、25日のオケ合わせのため24日にもう大阪入りという超ハードスケジュールでしたが、お疲れの様子もなく素晴らしい美声を響かせていました。
  魏松さんの輝かしく朗々と鳴り響く美声と関西21世紀交響楽団の皆さまの熱のこもった演奏と暖かいサポートに支えられ私も大変楽しく歌わせて頂きました。

  お客様が大変暖かく熱心に聞いて下さったこともコンサートの雰囲気を良くしていた原因と言えるでしょう。
  これほど舞台と客席がひとつに融け合った演奏会というのは滅多に見られないことですので感動いたしました。音楽の良し悪しはもちろん演奏者ひとりひとりの技術的な程度如何により決まりますからそれなくしては始まりませんが一瞬にして消え去る音楽が消えた後も人々の心に“何か”を残すときというのは会場全体にこのような熱い“気”が満ち溢れた時なのではないでしょうか。

 ともあれ魏松さんのおかげで日中友好のためのコンサートに出演させて頂き貴重な体験ができましたことを心より感謝いたします。コンサートの翌日上海へ戻られ魏松さんは又すぐ30日からこんどはアメリカへと飛び立っていかれました。並はずれた超人的な体力の持ち主でいらっしゃるのでしょうがお疲れをためずにいつまでもその輝かしい美声を響かせて頂きたいと心よりお祈りする次第です。

 このコンサートの後魏松さんから来年ぜひ日本で2人の演奏会をやりましょう・・・と嬉しいお話を頂戴し早速日程調整を行いその結果来年(2008年)6月7日に演奏会を行うことが決まりました。詳細はいずれ又お知らせさせて頂きます。

 とりあえずは9月に長春で10月に上海で魏松さんとのコンサートがあります。お時間のある方はぜひこの類まれなる輝かしい美声を聞きに中国までいらして下さいませ。

左から通訳の呂巍さん 創価学会副会長藤原 武様 私 魏松さん 関西21世紀交響楽団の楽団長荒木誠至様


コンサート前日の26日はオフとなりました。このオフを利用して淡路島にご案内頂きました。

鳴門の渦潮に魏松さんも驚きの声をあげ喜んでいらっしゃいました。
関西21世紀交響楽団の指揮者 磯貝富治男様と
コンサートミストレス 石橋 千絵様と



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